「土地」を考える。
「土地」と聞くと、何を連想しますか。
お金持ち、不労所得、投資のようにお金に関連することを思い浮かべる人や、
人が住むところ、何か新しい施設できる場所のように人が過ごす空間を思い浮かべる人がいると思います。
もちろん、そのほかにも色々あるかと思いますが、最近は「土地」について考えさせられる機会があり、その際に訪れた本屋さんの新書コーナーにて見つけた本があったのでご紹介いたします。
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タイトル
「人口減少時代の土地問題 〜所有者不明化と相続、空き家、制度のゆくえ〜」
著者:吉原祥子 出版社:中央公論新社刊
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少子高齢化という社会問題には歯止めがかからず、また都市部への人口集中により、都市部の地価は高騰し、一方で田舎の土地は多く余り、地価が減少するという現象が起きている。
上述した土地について考えさせられる機会というのは、
先日、自分は昭和30年代に発行され以降、触れられることもなく放置された権利書を手掛かりに岐阜県高山市にある法務局を訪れたことに始まる。
法務局の方のお話によると昭和30年代頃、奥飛騨温泉郷一帯を別荘地化する計画があり、土地の売買が頻繁になされていたという。しかし、それが実現することはなく今でも森林の中に実態も明らかにならない土地が転がっており、どこからどこが自分の土地かも分からないまま放置されていた。そんな山中にある土地は活用する術もなく、国に寄付することもできず、権利を放棄することもできない。
どうしたものかと頭を悩ませているところで、この本に出会った。
全国の私有地のおよそ2割が所有者不明だという。
それらの土地を面積に換算すると何と、九州より大きいという。
なぜ、土地の所有者が不明になるのか、言うまでもなく土地は資産であり、そこには変動しにくい価値がある。
大きな要因として、それは相続の登記が任意であるという点にある。また、山林や田舎の土地は投資による効果より費用が上回ってしまうため放置されてしまうケースが多々ある。
それらの土地は上記した通り、寄付する先も売却する先もなく相続の登記が任意であるために所有者が亡くなって以降も登記が更新されないままになり、今の現状を招いている。
それでは何故、所有者不明の土地がこれまで問題視されてこなかったのか、それは登記自体、土地の売買や相続、大規模災害時といった一生に一度のイベント時にのみ発生するからである。
また、行政側も制度改変による住民からの不満や、制度改変のためには国に訴える必要があること。仮に国が問題の存在を認識していても、法改正に至るほど十分なデータが取れていないという現状という三すくみ状態となっている。
これらの問題を解決するために徐々に第 4次改革と銘打ったり、東日本大震災を機に制度改変へ歩みだしているが、世帯主の50%が65歳以上という現状は依然として変わっていない。
森林や田舎の土地にフォーカスして新たな取り組みを考えたり、余剰な土地を活用したりする術を考えるビジネスは既に陳腐化もしれないが、多くの外資企業が北海道の土地を多く買い占めている事例があるように、国内企業も個々人も「土地」にフォーカスしてモノを考えて見るのも面白いと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
一冊を読んで思う考えなので、偏っているかもしれません。
面白い事例や土地に関することなる見方があれば、教えていただけると幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
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